固い肉を柔らかくする方法について解説しています。
特売の輸入牛肉を喜んで購入したのは良いけれど料理して食べてみたら肉質が固くて家族から「あんまりおいしくないね」と文句を言われた経験はありませんか?
同じ牛肉でも原産国や牛の育て方、食べさせる物によって同じ肉の部位であっても価格や味、肉質などにも大きな差が生じる事があります。
もちろん生き物ですので当然個体差もある訳ですが価格が手頃な輸入品の牛肉を焼肉やステーキにして食べる時には下ごしらえにひと手間かける事で固いお肉を柔らかくする事が可能です。
固い肉を柔らかくする方法と焼肉
具体的にはミートテンダライザーやジャガードと呼ばれる調理器具を使用して肉を柔らかくする方法と野菜や果物、乳製品や炭酸飲料に浸け込む事により柔らかくする方法があります。
中でもおすすめなのはミートテンダライザー(ジャガード)を使用して肉の繊維の内部に切り込みを入れて物理的に柔らかくする方法です。果物や野菜に含まれる成分や炭酸成分で柔らかくする方法は余り効果が感じられなかったり仕込み時間が長く肉自体がふやけたり色が悪くなる事が多いので人によって好みが分かれると思います。
実際にミートテンダライザーの使い方を示した動画です。
ステーキ用にカットしてある肉やブロック(固まり肉)の状態でも四方八方からプッシュする事により驚く程お肉が柔らかくなります。
日本国内で育てられる食肉用の牛の種類は大きく分けて「和牛」と「国産牛」の2種類です。
お値段の高い和牛の事は皆さんご存知の事かと思いますが「国産牛」と表示されるホルスタインなどの乳用種と和牛と乳用種をかけあわせた交雑種と呼ばれる牛の二種類です。
部位によっては固い部分もありますが国内生産の食肉牛は育て方や食べさせる物も工夫されているので柔らかい肉質が生産されます。
お手頃な価格で購入できスーパー等の店頭で購入しやすい輸入牛は国産牛に比べて比較的安価ですが生産される国によっても品質や肉質の柔らかさにかなり差が発生します。
これは何故かと言うと海外で育てられている牛は広い牧場で育てられ食べさせる餌も穀物の割合が日本に比べて少なかったり牧草を食べさせて育てるために肉に霜降りなどの脂肪が少ない赤身がちなお肉が好まれるためです。
輸入牛であっても日本に輸出する為に穀物肥育を行って日本向けの食肉を生産する業者もありますがコストがかかる為に価格が高くなる傾向にあります。
輸入牛肉の中でも牧草のみで飼育された牛をグラスフェッド、穀物を食べさせて飼育された牛をグレインフェッドと呼びますが店頭に並んだ時にラベルに表示される事は無いためプロの方以外は見ただけで区別しにくいのが現状です。
ただ輸入品の価格が安い牛肉であっても適切な下処理をすることによって柔らかく調理する事が可能です。
固い肉を柔らかく焼肉にするには?
固い肉を柔らかい焼肉やステーキにして食べるには肉を購入する時に大きな塊で購入するのかすでに切ってある商品を購入するのかによっても多少異なります。
焼肉用の牛肉として販売されるのはロースやバラ肉、モモ肉やうで肉(前足)、ハラミ等の内臓肉などで様々な部位が手に入ります。
焼肉の中でもカルビとして人気があるバラ肉はカットしてある状態でも薄い膜のような肉スジが内部に入り込んでいて食べる時に違和感を感じることがあります。
肩ロースやモモ肉も成形する段階で歩留まり(販売者の利益率)を良くする為に肉スジを完全に取り除いていないケースもあり口の中に入れた時に固いと感じる場合があるようです。
焼肉用に既に切ってあるお肉が固いと感じる場合はジャガードをかけたり使用する数時間前に酵素を含んだ液体に浸け込むことで柔らかくする事が可能です。
果物は種類によって肉を柔らかくする酵素を含んでいますがその中でもパイナップルやパパイヤの果汁に肉を浸け込む事で肉を柔らかくする事ができます。
果物に含まれる酵素は加熱すると活性を失ってしまうので果肉をミキサーにかけるか100%果汁のジュース(非加熱)の物を使用すると良いでしょう。
塩麹にひと晩漬け込む事でもお肉はかなり柔らかくする事ができます。
他にも野菜の玉ねぎや大根、ビールやコーラなどの炭酸飲料、お酒やワインに浸しておく事によってもお肉は柔らかくなりますがジャガードなどの調理器具を使用した時ほど大きな体感は感じられませんしコストや時間もかかります。
焼肉のタレに漬け込む専門の焼肉店などではもみダレといってお客さんに提供するお肉は事前にタレがからめてあります。
焼肉をする時につけて食べるタレに肉を前日から漬け込んでおくという方法もあります。
このもみダレはスーパーなどで販売されていないので自分で作るか市販の焼肉のタレを使用すると簡単です。
市販の焼肉のタレには玉ねぎやりんご、梨といった酵素を含む野菜や果物のエキスが入っているので肉の色は悪くなってしまいますが肉の臭みが消えたり柔らかくなったりします。
また自家製でもみダレを作る場合は甘みを加えるのにハチミツを使用すると肉を柔らかくする効果があります。
ハチミツに含まれるプロテアーゼという酵素が肉に浸透して柔らかく臭みも取り除いて焼いた時に肉の組織が縮むのを防いで固くなりにくくしてくれます。
固い肉を柔らかくステーキにするには?
テレビ番組などでも取り上げられましたが舞茸というキノコを細かくちぎってステーキ肉と混ぜて冷蔵庫で2、3時間寝かせておくと肉の味が深まり酵素の力で柔らかく仕上がります。もちろんこの方法は焼肉などカットしてあるお肉にも応用できます。
他にも洋食料理人の裏技としてお肉の表面に砂糖を塗りしばらく馴染むようにしてから焼くだけでとても簡単に肉が柔らかくなります。
ステーキ肉に筋がある場合には事前に包丁などで切込みを入れ包丁の背中の部分やミートハンマーで全体的に叩いてから焼くと柔らかく仕上げるのに効果的です。
豚肉や鶏肉などでもステーキにすると仕上がりがパサついたりする場合は料理によっては小麦粉や片栗粉を肉の表面につけてソテーのようにすると肉の水分が失われずに仕上がるので柔らかくパサつかない仕上がりになります。
肉は焼く30分から1時間前に冷蔵庫から出して室温程度になるようにしておいてから焼くと肉の内部に火も通りやすく塩コショウは直前に振る事で肉汁が流失するのを防ぐので結果として柔らかく仕上がります。
肉は焼き過ぎると固くなる特徴があるので注意しておきましょう。
※焼肉と異なりステーキの場合には肉に厚みがあるので野菜や果物に浸け込んで柔らかくするのには時間がかかり肉に下味がついてしまう可能性もあります。
肉を下ごしらえで柔らかく
牛肉だけでなく豚肉や鶏肉などは下ごしらえの段階で筋を丁寧に取り除きジャガードで繊維に穴を開けたりミートハンマーなどの肉を叩くことにより調理した後に柔らかく仕上げる事ができます。
果物や野菜をすりおろした汁に浸け込んだり牛乳やヨーグルト、コーラやビールなどに浸け込んでも肉が柔らかくなります。
煮込みやシチュー、カレーなどの料理に使う肉も砂糖をまぶして少し経ってから調理を始めると短時間で柔らかくなります。
キノコの中でも「舞茸」を細かくちぎって肉と一緒にして冷蔵庫で2~3時間保存するとお肉がとても柔らかくなります。
舞茸だけでも柔らかくなりますが水を少し加えると更に短時間で仕上がります。
舞茸ほどではありませんがしめじやエリンギにも似たような効果があります。
肉は調理する前に冷蔵庫から出して常温にして置くことで火の通りが良くなり結果として柔らかく仕上がります。
まとめ
固い肉を柔らかくするにはパイナップルやパパイヤなど酵素を含んだ果物や玉ねぎや大根のおろし汁、牛乳やヨーグルト、コーラやビールなどの炭酸飲料やワインや日本酒に浸け込んだり舞茸や砂糖をまぶしたりして保存することにより柔らかくする事ができます。
下ごしらえの段階で筋を取り除きジャガードをかけ調理する前に室温の状態に戻す事で加熱時間が短くなり柔らかく仕上がります。